Microsoftは、EdgeブラウザのAIアシスタント「Copilot」に新たな共有ボタンを追加し、AIチャットの会話を容易に共有できる機能を導入した。これにより、ユーザーは生成されたリンクを通じて他者とチャット内容を共有することが可能となる。
さらに、複雑な質問に対してより深い推論を提供する「Think Deeper」機能が、従来の有料会員限定から全ユーザーに拡大された。この機能は、キャリアアドバイスや問題解決、STEM関連のタスクにおいて、AIの応答を強化するものである。
これらのアップデートにより、MicrosoftはCopilotの利便性とユーザー体験の向上を図っている。
Microsoft EdgeのCopilot、AIチャット共有機能の実装で利便性が向上

Microsoftは、EdgeブラウザにおけるAIアシスタント「Copilot」に新たな共有機能を追加した。この機能により、ユーザーはAIとのチャット履歴をワンクリックでリンク化し、他者と簡単に共有できるようになった。これまでAIが生成した会話を共有するにはスクリーンショットを撮るか、手動でコピー&ペーストする必要があったが、今回の機能によりその手間が大幅に削減された。
特に、チームやグループでの情報共有が求められる場面でこの機能は有効と考えられる。たとえば、Copilotを活用して調査を行った場合、その結果を即座に同僚や関係者に共有し、意思決定を迅速化することができる。また、教育や学習の場面でも活用が期待される。生徒や研究者がCopilotを使って得た洞察を簡単に他者とシェアできるため、AIの活用範囲が広がる可能性がある。
Microsoftは、Copilotをウェブ版でも提供しているが、現在のところEdgeのサイドパネルと同様の共有機能は実装されていない。今後、ウェブ版にもこの機能が追加されることで、さらなる利便性向上が期待される。今回のアップデートは、EdgeブラウザにおけるCopilotの一貫性を強化するものであり、MicrosoftのAI戦略の一環と考えられる。
「Think Deeper」機能の無料化が示すMicrosoftのAI戦略
「Think Deeper」機能は、AIが複雑な問題に対してより深い推論を行うことを可能にする。この機能は、STEM関連の問題やキャリアアドバイス、戦略的意思決定のサポートに適しており、Microsoftによると通常のAI応答よりも処理に時間を要するが、その分、より高度な回答を提供することができる。
この機能はもともとCopilot Proの有料ユーザー向けに提供されていたが、Microsoftはこれをすべてのユーザーに開放した。これにより、無料ユーザーでも高度な推論能力を持つAIを利用できるようになり、AIの普及とユーザーエクスペリエンスの向上につながると考えられる。Microsoft AIのCEOであるムスタファ・スレイマン氏は、この機能の無料化をX(旧Twitter)で発表し、「本当に魔法のようなものだ」と評している。
この決定の背景には、AI市場における競争があるとみられる。GoogleやOpenAIなどの競合企業が急速にAI機能を強化する中で、Microsoftもより多くのユーザーを囲い込む戦略を取っている。Copilotを無料で利用できる環境を整えることで、企業や個人がAIを日常的に活用する機会を増やし、将来的な収益化の基盤を築く狙いがあると考えられる。
Microsoftが目指すAIの民主化とその影響
今回のアップデートは、Microsoftの「AIの民主化」というビジョンを体現するものといえる。同社はこれまでも、AIをより多くの人々に開放する取り組みを進めており、Copilotの進化もその一環である。特に、「Think Deeper」機能の無料化は、これまで高度なAI機能が一部の有料ユーザーに限定されていた状況を大きく変えるものである。
これにより、企業や個人がAIを活用するハードルが下がり、業務の効率化や生産性向上が加速する可能性がある。特に、リサーチや戦略立案、教育分野では、高度な推論を活用できることでAIの有用性がさらに高まるだろう。MicrosoftがAIの民主化を推し進めることで、今後の市場競争にどのような影響を与えるのか注目される。
Source:Digital Trends