Perplexity AIは、ユーザーが詳細なレポートを迅速に作成できる「Deep Research」機能を無料で提供開始した。この機能は、ユーザーの質問に対し、数分で関連情報を収集・分析し、包括的なレポートを生成する。
無料ユーザーは1日5回まで利用可能で、月額20ドルのProプランでは1日最大500回のクエリが可能となる。一方、OpenAIの同様の機能は月額200ドルで提供されており、Perplexityのサービスはコスト面で大きな優位性を持つ。
また、PerplexityのDeep Researchは、AIのベンチマークテスト「Humanity’s Last Exam」で21.1%の正答率を記録し、OpenAIの26.6%に次ぐ高い精度を示している。この新機能により、ビジネス分野における情報収集と分析の効率化が期待される。
Perplexity AIのDeep Researchが持つ特徴と競争力

Perplexity AIのDeep Researchは、従来のAI検索やチャットボットとは一線を画すアプローチを採用している。従来の生成AIが単発の回答を行うのに対し、この機能は複数の関連検索を組み合わせ、推論を用いながら情報を統合する。これにより、単なる検索結果の羅列ではなく、論理的に整理されたレポートを短時間で提供できる点が特徴的である。
また、Perplexity AIはこの機能を無料で提供しており、1日に5回までのクエリ制限があるものの、月額20ドルのProプランに加入すれば、最大500回のクエリが可能となる。一方、OpenAIのDeep Researchは月額200ドルのProサブスクリプションを必要とし、月に100回のクエリ制限が設けられている。この価格差は、Perplexity AIの競争力を示す要因の一つであり、AIによる高度なリサーチ機能をより多くのユーザーが手軽に活用できる環境を提供している。
さらに、Deep Researchは、単に検索結果をまとめるだけでなく、PDF形式でレポートを出力する機能を備えている。これにより、従来の情報収集作業が大幅に効率化されるだけでなく、企業や個人がプレゼンテーション資料として活用する可能性も高まる。無料でここまでの機能を提供するPerplexity AIの戦略は、AIリサーチ市場において大きな影響を与えそうだ。
AIリサーチ市場の変化とPerplexityの位置づけ
近年、AI技術の進化により、単なるチャットボットではなく、より高度なリサーチ機能を持つAIの需要が急速に拡大している。特に、時間をかけずに正確な情報を得たいユーザーにとって、Deep Researchのようなツールは非常に魅力的な選択肢となる。OpenAIが先駆けとなって展開していたこの領域に、Perplexity AIが無料で参入したことは、業界全体の競争を加速させる可能性がある。
また、Perplexity AIのDeep Researchは、AIの一般的なベンチマークテスト「Humanity’s Last Exam」において21.1%の正答率を記録し、OpenAIの26.6%に次ぐ高いパフォーマンスを示した。この結果は、無料で提供されるAI機能としては非常に優秀であり、他の競合モデルであるDeepSeek R1(8.6%)やGemini(7.2%)を大きく上回る。
こうしたデータを見る限り、Perplexity AIはAIリサーチ市場において確かな地位を築きつつある。しかし、OpenAIのDeep Researchがフォローアップの質問を受け付け、より詳細なプロセスを踏むことで精度を向上させるのに対し、PerplexityのDeep Researchは数分以内に結果を出す「軽量版」としての側面が強い。今後のアップデートによって、どのように機能が進化していくのかが注目される。
Perplexity AIの戦略と今後の展開
Perplexity AIの戦略の核心は、「無料で高度なリサーチ機能を提供すること」にある。従来、AIによる本格的なリサーチ機能は高額なサブスクリプション費用が必要だったが、同社はこの常識を覆し、無料ユーザーにも強力な機能を提供することで市場を拡大しようとしている。このアプローチは、Google検索の代替としてのAIの可能性を模索する動きの一環とも言える。
しかし、Perplexity AIが持つDeep Research機能の優位性は、今後の競争環境の変化によって左右される可能性がある。OpenAIは現在「o3推論モデル」を導入予定としており、今後さらに高度なリサーチ機能を提供する可能性が高い。また、他のAI企業も同様のリサーチ機能を強化してくることが予想されるため、Perplexity AIがどのような差別化を図るのかが重要なポイントとなる。
現在、Perplexity AIは使用する推論モデルの詳細を公表していないが、これが今後の精度向上にどの程度影響を与えるのかも注目すべき点である。また、無料版と有料版のバランスをどのように維持しながら収益化を図るのかも、事業戦略としての大きな課題となる。今後、AIリサーチ市場における競争が激化する中で、Perplexity AIの立ち位置がどのように変化していくのかを注視する必要がある。
Source:Lifehacker